席替えを決めるとき、いちばん面倒なのは番号を引く作業ではありません。決めたあとに「なんで自分だけ」と言われることのほうです。
ランダムに決めたのだから文句の出ようがない、と思いたくなりますが、実際にはそうなりません。ランダムかどうかは結果を見ても分からないからです。分かるのはやり方を先に聞いていたかどうかだけ。
このページでは、席替えとグループ分けを無作為で決めるときの具体的な手順と、決め方そのものを納得してもらうための段取りを整理します。
席替えは「1〜Nを重複なしで引く」だけ
やることは驚くほど単純です。30人のクラスなら、範囲 1〜30・個数 30・重複なし。出てきた並びがそのまま席順になります。
出席番号をそのまま使えるのが利点です。1番の子は1、2番の子は2。名前を打ち込む必要はありません。出てきた数字の並び順が座席の順番、と決めておけば、教室の前列左から順に埋めていくだけで終わります。
重複なしを選ぶ理由は明白で、同じ番号が二度出たら席が足りなくなるからです。ここを重複ありのまま引いてしまうと、8番が二回出て15番が出ない、といった結果になります。
逆に言えば、決めることは範囲と重複なしの二つだけです。何人のクラスかを入れて重複なしにチェックを入れる、それで終わります。文章で読むより、先に一度触って出てくる形を見ておくほうが早いかもしれません。
先に外しておくものがある
全部をランダムに任せられる教室のほうが、たぶん少数です。
- 視力や聴力の関係で前方が必要な子
- 車椅子や補助具で通路幅が要る席
- 支援員がつく席
- 医療的な理由で出入口に近いほうがいい子
こうした席はランダムに混ぜてはいけません。 かといって「あの子だけ特別」と見えるのも避けたいところです。
段取りとしては、先に固定席を決めて、残りの席と残りの人だけでランダムを回します。 30人のうち3人の席が決まっているなら、残り27人に1〜27を振って引く。全体を引いてから調整すると、その調整が恣意的に見えます。順序が逆になるだけで、印象がまったく変わります。
身長差で後ろの子が見えない、という問題も同じ扱いです。前方数列を身長順で固定し、そこから後ろだけをランダムにする。全部を無作為にしてから入れ替えるより、説明が一段すっきりします。
グループ分けは「並べて、区切る」
グループ分けも土台は同じです。全員分を重複なしで並べて、頭から必要な人数ずつ区切るだけ。並びが無作為なので、区切り方は単純で構いません。
40人を5班にするなら8人ずつ。出てきた並びの1〜8番目が1班、9〜16番目が2班、と機械的に切っていきます。
人数が割り切れないときは、多いほうの班を先に作ります。 40人を6班にするなら、7人・7人・7人・7人・6人・6人。1人ずつ後ろの班から減らしていく形です。「余った2人をどこかに足す」という発想でやると、その2人だけ後付けで押し込まれた感じになります。先に人数構成を決めてから区切るほうが、手順としても説明としてもきれいです。
「実力を均等に」はランダムでは作れない
ここは混同されやすいところなので、はっきりさせておきます。
チーム分けで「どの班も強さが同じくらいになるように」したい場合、無作為では実現できません。 無作為はあくまで偏りを意図的に作らないだけで、結果として強い子が一つの班に固まることは普通に起こります。
均等にしたいなら、実力順に並べて上位と下位を交互に振り分ける(1位→A班、2位→B班、3位→C班、4位→C班、5位→B班…と折り返す)ような設計が要ります。これは無作為の反対側にある作業です。
無作為であることと、公平であることは同じではありません。 「誰も操作していない」と示したいなら無作為が最善です。 「結果のバランスを取りたい」なら、無作為は道具として合っていません。
席替えは前者、チーム分けは後者であることが多い。どちらをやりたいのかを先に決めてください。
教室でその場で回すときの段取り
生徒の前で回すなら、順番はこうなります。
- やり方を先に言う。 「出席番号でランダムに引きます。前から順に座ります。一回だけ引きます」。ここまで言ってから引きます。
- 画面を見せながら引く。 見えていれば説明が要りません。
- 出た並びをそのまま板書するか、記録に残す。
- 引き直しはしない。
4 番が肝心です。ざわついたから、盛り上がらなかったから、と引き直すと、次の席替えから全員が「引き直しがある」前提で見るようになります。 そうなると一度目の結果に意味がなくなります。
やり直す可能性を残したいなら、条件を先に言っておく以外にありません。「配慮の必要な席と重なった場合だけ引き直します」のように、引く前に決めて口に出すのが唯一の方法です。
この「事前に条件を公開して、一度だけ引いて、そのまま記録する」という段取りは、席替えに限らず抽選全般で同じです。当選者選びのように結果を外部に示す必要がある場面での組み立て方は、ランダム数字で抽選する にまとめています。
あみだくじ・くじ引きと何が違うか
同じ「運で決める」でも性質が違います。
あみだくじは、全員が必ず別の結果になります。重複なしと同じ性質です。ただし、横線が少ないと元の位置に近い結果が出やすくなります。線を十分に引かないと、意外と混ざりません。
紙のくじ引きは、引く順番が心理的な差を生みます。先に引いた人が当たりを取ると後ろの確率が変わる、というのは数学的には最初から織り込まれていて全員同じ確率なのですが、その説明を全員が納得するとは限りません。 「後ろは不利だ」という感覚は残ります。
数字を一度に引く方式は、この二つの問題がありません。全員分が同時に決まるので、順番の有利不利という論点が生まれない。 席替えのように人数が多い場面では、この違いが効いてきます。
よくある質問
Q. 前回とほとんど同じ席になってしまいました。壊れていませんか。 壊れていません。無作為なら、前回に近い並びが出ることもあります。むしろ毎回きれいに入れ替わるほうが不自然です。ただ、生徒の納得という意味では別問題なので、気になるなら「前回と同じ席は引き直す」を事前ルールにしておいてください。事後に判断すると、それは無作為ではなくなります。
Q. 特定の二人を離したいのですが。 無作為の中では指定できません。固定席の考え方と同じで、先に片方の席を決めてしまい、残りでランダムを回すのが現実的です。あるいは教室を前後で二つに分け、それぞれ別に引く形にすれば、二人が同じ範囲に入りません。
Q. 何人までできますか。 jakup の乱数ジェネレーターは一度に最大 1,000 個まで出せます。学年集会の規模でも足ります。
Q. 班の人数が割り切れません。 多いほうの班から先に埋めてください。40人6班なら 7・7・7・7・6・6。「余りをどこかに足す」より、先に人数構成を決めてから区切るほうが説明が通ります。
Q. 出た数字を並べ替えてから使ってもいいですか。 席替えでは並べ替えないでください。出た順そのものが席順です。並べ替えると単なる出席番号順に戻ってしまいます。
Q. 職場のフリーアドレスや懇親会の席決めにも使えますか。 同じです。人数分の番号を振って重複なしで引くだけ。懇親会なら、先にテーブルごとの人数を決めてから区切るとそのまま席次表になります。